IT技術の進化や新サービスの登場に合わせて、ネット詐欺の手口も多様化・巧妙化している。ネット詐欺に遭遇しても「そんな便利なサービスがあるのか」「あまり知られていないお得な情報を見つけた」と思えてしまい、知識があっても詐欺だと見破ることが困難な場合もある。見破れないのならば、過去の事例から手口を知り危機意識を高めることが得策だ。この記事ではネットやIT技術を悪用した騙し行為をまとめている。
1、フィッシングメール
大手ECサイトや金融機関、宅配業者などを装ってメールを送り、偽物のWebサイトに誘導したり個人情報を入力させたりする。メールの本文や誘導した先のWebサイトは年々精度が上がり、一見すると偽物だとは分からない。
1、1、クレジットカード情報の更新依頼
大手ECサイトなどから「料金が引き落とせないので、クレジットカード情報を更新してください」というメールが届く。メールの指示に従い指定のURLを開くと、ID・パスワード・住所・クレジットカード情報を入力させられる。
この手口について注意喚起ツイートをした人物は、文中にあるAmazonへのリンクをクリックすると自分のAmazonアカウントが開いたと言っている。これは一般的な動作であり、自分で「ログインしたままにする」という設定をしていたり、前回のログインから時間が経っていない場合、Amazonを開くだけで自分がログインした状態が表示される。気が動転していたり仕組みを知らなかったりすると「メールの送信者は私のアカウントを知っている!ということは本物だ!」と勘違いしてしまうかもしれない。
注意喚起ツイートが取り上げられた記事
ものすごく巧妙なAmazonの詐欺メールに要注意!→ネット民「危うく騙されそうになった」「引っ掛かりました」
1、2、偽の請求書
オンライン決済サービスから「ECサイトでのお支払いが完了しました」というメールが届き、メールには購入した商品や金額の明細が書かれている。メールを受け取った人は自分で購入した覚えがないため、「アカウントが不正利用された!」と思い「心当たりがない方はこちらから取引履歴を確認してください」などのリンクからログインする。
実は、これは不正にお金を使われてしまったのではなく、メールそのものが偽物なのだ。メールの受信者に「不正使用された」と思い込ませて偽のログイン画面に誘導し、IDとパスワードを入力させる手口だ。IDやパスワードを入力すると詐欺師に送信されてしまう。
ただ、メールが本物で本当に不正利用されている場合があり、「全て無視すればよい」とは言えない。そうは言っても、近年の詐欺メールは本物か偽物かほとんど見分けがつかない。常にメールのリンク以外からログインするようにしよう。
1、3、偽の月額利用料未納通知
ショートメールでAmazonから「コンテンツ利用料金の精算確認が取れません」といったメッセージが送られてくる。このメッセージは「クレジットカード決済がうまくいかなくて、Amazonプライムの月額料金が引き落とせなかった」と解釈できる。メッセージに返信すると、コンビニでギフトカードを買って暗証番号を連絡するよう指示される。このような新しい技術を使った詐欺は、スマホの操作やデジタル技術に弱い世代が狙われることが多い。自分が何をしているかよく分からないため、とりあえず指示に従ってしまうからだ。
ちなみに、Amazonからこのような連絡が来ることはあり得ない。Amazonプライムの会費は前払い制であり、支払いができない場合は自動的に解約される。
Amazonプライム会費
ヘルプ&カスタマサービス|Amazon
無料体験または会員期間が終了すると、次の会員期間に対して自動的に課金されます。
Amazonプライム会員規約
ヘルプ&カスタマサービス|Amazon
会費、更新
お客様が登録された全ての適用可能な支払い手段が支払い不能な場合、お客様が速やかに適用可能な支払手段を新たに当サイトに提供しない限り、お客様のプライム会員登録はキャンセルされます。
1、4、二段階認証のあるWebサイトへのログイン
二段階認証とは、ログイン時にIDとパスワードを入力すると本人の電話番号に認証コードが送られ、そのコードを追加で入力することで本人確認をする技術だ。クレジットカード会社などの個人情報を扱うWebサイトで設けられていることが多い。二段階認証が行われるWebサイトであれば、上記のような手口でIDとパスワードを盗まれたとしてもログインされることはない。
と、思うがログインできる方法がある。被害者が偽サイトにIDとパスワードを入力すると、即座にその情報が詐欺師に送られる。詐欺師はその情報を使って本物のサイトにログインする。すると、認証コードが被害者のスマホに送られ、被害者は偽サイトに認証コードを入力する。認証コードもすぐに詐欺師に送られるため、詐欺師は本物のサイトに認証コードを入力することができる。
1、5、宅配便の不在通知
佐川急便からの不在通知がショートメールで届き、リンクからWebサイトを開くと荷物追跡アプリのダウンロードが勧められている。Webサイトは本物と遜色ない作りであり、荷物追跡アプリの操作方法が丁寧に説明されている。更に、佐川急便はLINEやWebサイトから再配達依頼ができるため、このような誘導に不信感を抱きにくい。「新しいサービスを始めたんだな」と思ってダウンロードしてしまう。
もちろん、アプリをダウンロードするとウイルスが侵入し、個人情報を詐欺師に送信したり、スマホに保存されている連絡先にウイルスを送信して拡散したりする。ショートメールが本物かどうかは見た目からは判別できないため、怪しいと感じたら問合せをしよう。
2、オンラインショッピング
スマホの普及などに合わせてネットで買い物をすることが身近になり、それに比例するように詐欺被害も増加している。偽サイトは、本物そっくりだったりデザインが異なっていても完成度が高く、不審な点が見当たらないものも多い。
フリマアプリの普及によって新たな手口も生まれている。ただ、フリマアプリは電話番号を登録するものが多く、電話番号1件ごとに1アカウントしか登録できない。アカウントの作り直しができないため、通常はトラブルや違法行為を起こさないように心掛けるものだ。しかし、近年は電話番号を大量に所有し電話番号認証を代行する業者がいる。この業者を利用するとアカウントを何度も作り直すことができるため、詐欺師は違法行為をためらわなくなった。「悪いことはできないはずだ」という先入観を撤廃し、フリマアプリには悪質なユーザもいることを知っておこう。
また、販売側も被害を被ることがある。自社製品の模造品が販売されれば、購入者から自社に苦情が来たり悪い口コミが出回ってしまう。不正利用されたクレジットカードで決済された金額は、販売者が被害者に返金することになっている。商品は詐欺師に発送されているため販売者の損失となる。
2、1、本物そっくりな「偽アイリスオーヤマ」
家電などを購入させ商品を届けない手口のWebサイト。本物のアイリスオーヤマ通販サイトから画像やロゴを盗用しており、URLも本物に似ているため、一見しただけでは偽物だとは気付かない。これらのサイトは、ネット広告やセールスメールなどからアクセスを促すことが多い。仮にアクセスしてしまったとしても、以下のポイントを参考に偽サイトを見分けよう。
偽サイトを見分けるポイント
・会社概要が本物の通販サイトと異なる
・大きく値引きされている
・支払方法がクレジットカード決済のみ
人気ブランド公式通信販売サイトを装った偽サイトに関する注意喚起|消費者庁
2、2、存在しない「レインボーローズの種」
レインボーローズとは、着色した水を白いバラに吸わせて作る、生花でも造花でもあるバラのことだ。しかし、フリマアプリなどでレインボーローズの種が販売されている。種を蒔いても虹色のバラが咲くことはないが、レインボーローズの作り方を知らなければ購入してしまう。出品者は「必ずしも画像の通り(虹色)に咲くわけではありません」と謳い、普通のバラが咲いても「ハズレだった」と思うように誘導される。
そもそもバラは種では売っていない。バラは、接ぎ木や挿し木という1本の枝からクローンを作る手法で増やしているため、必ず苗の状態で販売されている。
【珍種】レインボーローズ 種3粒 ガーデニング、インテリアに!|PayPayフリマ
2、3、中身を詰め替えた「中古の香水」
フリマサイトでは、使いかけや中古の化粧品でも「安くお試しできる」と言って購入する人が多い。その需要を利用し、使いかけの香水や空の香水瓶を買い取って偽物を詰めて転売する者がいる。本来、偽造品・模倣品はメーカーやフリマサイトが厳しく監視しているが、中古品は監視が甘いため摘発のリスクが格段に低い。また、香水は経年劣化する商品であるため、「安く買えたと思ったら古くなった商品だったのか」と本物を買ったと思い込んでいるケースも多い。
ネット上には香水の買取サイトや高く買い取ってもらうコツを書いた記事が多数ある。買取業者の多くはブランド香水の容れ物を集めるのが目的だ。買い取られた香水は偽物に詰め替えられて転売される可能性が高いと知っておこう。
2、4、品種を偽った「メダカの卵」
メダカは異なる種類の掛合せによって形や色が変化しやすく、飼育もしやすい。そのため、在宅の機会が増える中で観賞用のメダカの需要が高まっている。フリマサイトなどでは、高額品種のメダカの卵を安価で販売し、意図的に異なる品種の卵を送りつける行為が登場している。卵が孵化してある程度成長してからでなければ品種が違うことに気が付かないため、出品者への評価は卵の状態を見て判断され、高評価が付けられることが多い。個体差もあるため警察への被害届も受理されず、泣き寝入りすることが多い。
また、商品ページに添付されている成長したメダカの画像も加工されていることがある。出品者に「色が違う」と問合せても、「個体差があります」「パソコンのモニターによって画像の見え方が違います」と言われてしまう。
3、SNS・マッチングアプリ
現代では、SNSを使って見知らぬ人と交流することが当たり前になった。孤独感を埋めたいという欲求や恋愛感情、親切心につけこんだり、警戒心が薄まったタイミングを見計らって勧誘し、金銭を騙し取る手口が横行している。
3、1、勧誘行為
新しい生活がスタートした新大学生や新社会人には、期待や不安を抱えている人もいる。友達が作れず孤独感を抱いている人は、サークルやセミナーに見せかけたカルト集団に目を付けられやすい。やりがいや収入に理想と現実のギャップを感じている社会人は、マルチ商法のカモになりやすい。その他、「転職したい」「結婚したい」など、人生の転換期に差し掛かり意識が高くなっている人は、自己啓発やスピリチュアル系の商法に引っかかりやすい。
上記のような人たちは、SNSを使って簡単にで見つけることができる。「#春から〇〇大学」というタグを付けているアカウントは、〇〇大学に入学する成人であることが分かる。転職エージェントをフォローしている人は転職願望があり、結婚相談所をフォローしている人は結婚願望があると予想できる。もっと稼ぎたいと思っている人は、投資家やブロガー、起業ノウハウをつぶやくアカウントなどをフォローしていることが多い。
3、2、国際ロマンス詐欺
マッチングアプリやSNSで外国人を装い、恋愛感情や親切心につけこんで金銭を搾取する特殊詐欺。まずメッセージのやり取りで親睦を深め、恋愛感情が膨らんだ所を見計らってお金を振り込ませる。お金を要求する口実には「結婚したいから将来のために投資をしよう」、「親の治療費を支援してほしい」、「あなたに会いに行きたいから渡航費を肩代わりしてほしい」などがある。
詐欺師は、自分だと言って容姿端麗な赤の他人の写真を送ってくる。その写真はネット上で拾った画像であることが多く、写真の人物の本当のSNSアカウントが見つけられることもある。
投資に誘う場合は、大半は海外の投資サイトに入金させる。最初は少額で利益を出させて信用させ、大金を入金すると引き出せなくなる。
このような被害に遭うと弁護士やハッカーを紹介するという人物が現れることがある。それらも皆詐欺師の仲間であり、多額の依頼料を騙し取ろうとする。
3、3、稼げる副業
マルチ商法
マッチングアプリやSNSで知り合った人をカフェに誘い、「簡単に稼げる副業がある」と言ってくる。更に「今から近くでセミナーがある」と言って会場に連れていき、入会金をその場で支払わせる。入会金は高額であり、「手持ちがない」と言ってもATMや消費者金融に連れていかれる。マルチ商法は商品やサービスの勧誘をして紹介料で稼ぐ商法であるが、多額の初期費用を払わせる手口が相次いでいる。
自費出版
小説コンクールに落選した人や長期間ブログを書き溜めている人をターゲットに、自費出版を持ち掛ける。最終的に、見積もりよりも高額な作業料を請求されることが多い。また、「全国の様々な書店に売り出す」と謳い、「たくさんの書店で販売してもらえる」と誤認させることもある。「売り出す」とは書店に営業をかけることを指しており、店舗に並ぶことは保証していない。
買い付けバイヤー
バイヤーとして海外に行きブランド品を購入してくるバイトを謳っている。旅費は雇い主が負担するが、商品の購入は自分のクレジットカードで行う。帰国して商品を渡すと、数%がプラスされて返金される。何度か繰り返した後、小さなトラブルを機に返金されなくなるのが一般的だ。また、20万円を超える物品を輸入した場合は消費税を納付すると法律で決められている。雇い主は敢えてそのことを教えず、気付いた時には脱税・密輸の共犯になってしまっている。
価格が20万円を超える国際郵便物の通関手続の見直しについて|税関
荷物の転送
郵便物の受け取りを代行し、指定の場所へ転送するバイトを謳っている。開始時に身分証明証や報酬の振込先の提示を求められ、その情報をもとに勝手にスマホなどを契約する手口だ。転送する郵便物は自分の名義で契約されたスマホなどであり、後日自分のもとに請求書が届く。報酬は荷物の数に応じて決まるため、転送する数を徐々に増やす傾向にあり被害額が嵩んでしまう。
3、4、お金配りアカウント
「抽選で〇万円プレゼント」などの企画を立ててお金を配るアカウントがある。これらのアカウントは、応募者を振り込め詐欺に加担させる目的がある可能性が高い。詐欺師はまず応募者に当選の連絡をして、当選金を振り込むためにと言い応募者の口座を聞き出す。次にお年寄りなどを騙し、応募者の口座にお金を振り込ませる。そして、応募者に「間違って多く振り込んでしまった。お礼に当選額よりも多くあげるから振り込み過ぎた金額を返してほしい」と連絡する。応募者はお金を引き出し、指定の場所で手渡しで詐欺師にお金を渡すことになる。こうして応募者は、意図せず振り込め詐欺の出し子(お金を引き出す役)となってしまう。
また、指定の銀行口座を開設しキャッシュカードを郵送するよう指示する場合もある。開設したばかりの口座には残高がないため、安易に郵送してしまう人もいる。この手口は、お金を奪うことではなく新たに詐欺に使う口座を集めることが目的だ。また、キャッシュカードを他人に譲渡することは犯罪行為だ。
お金配りアカウントは、お金に困っている「カモ」を見つけるために作られている。フォローしたりコメントしたりすると目を付けられ、儲け話の勧誘にも遭いやすくなる。座間事件は、同様の手口でターゲットを見つけていたと知られている。加害者は自殺願望のあるように装ったアカウントを複数運用し、被害者を含む13名と実際に会うことができている。
4、高利貸し
売買契約に見せかけて実際には超高金利の融資をしているだけという、新たな手口の闇金業者が横行している。お金を借りるだけであり、クレジットカード現金化とも異なる。主に、金融機関から融資が受けられない人や即日現金が必要な人などをターゲットにしている。一見融資には見えないため、高金利であることに気付きにくい。
4、1、先払い買取り
業者指定の買取商品の写真を送るだけで、査定をして買取金額を入金してくれる。その後、期日までに商品を業者に送付する。商品が送付できない場合はキャンセルとなり、入金された金額にキャンセル料を上乗せして返金する。
このサービスは、写真を送るだけでお金がもらえるため、最初から商品を買うつもりがなくキャンセルを前提として利用する人が多い。業者も、キャンセル料を上乗せして返金してもらうことを目的としている。買取金額と称して入金された分を元本、キャンセル料を利息と考えれば、超高金利でお金を借りているだけである。
4、2、後払い現金化
業者から商品を購入し、レビューを送ると高額のキャッシュバックがもらえる。商品の代金は期日までに支払えばよい。購入する商品は情報商材などであり無価値に等しい。一見売買契約に見えるが、キャッシュバック分の金額を借り、商品の代金分の金額を返済しているのと変わらない。
4、3、給料前払い
月末に見込まれる給料を「賃金債権」(労働者が賃金を受け取る権利)として業者に売り、手数料を引いた金額を貰う。その後、給料が支払われたら債権を買い戻す。「手数料」と言われるとあまり違和感が感じられないが、年利に換算すると超高金利である。
債権を買い取るサービスは「ファクタリング」と呼ばれ、事業者の資金調達の手段として活用されている。ファクタリングは債券の売買契約のため、貸金業には当たらない。しかし、給与を対象としたファクタリングは貸金業に当たり、貸金業者登録が必要となる。
4、4、〇〇ペイ借金
一部のスマホ決済サービスでは少額融資を受けることができる。金額が少額なため審査も短時間で済み、操作手順は自分の口座からチャージする時とほぼ変わらない。詐欺ではないが、借金と感じさせない表現や敷居の低さがあり、感覚を狂わせるリスクがある。
借り方 カードローン|PayPay銀行
5、その他
オンラインショッピングやSNS以外でも、悪意のある者たちは様々な方法で罠を張っている。よくある事例を紹介する。
5、1、悪質な住宅レスキュー業者
水漏れやトイレの詰まり、鍵開けなど、住宅のトラブルに対応してくれるレスキュー業者に悪質なケースが増えている。ネット上では安い金額を提示し、訪問した後に次々と理由をつけて金額を釣り上げていく手口が多い。更に、トイレの修理を依頼すると便器を外した状態で「ここから先の作業は追加料金がかかる」と言うなど、払わざるを得ない状況に持ち込んでくる。
このような悪質業者は、ネットの検索結果ページの広告枠を悪用している。検索結果ページには、検索結果ランキングよりも上に広告枠があり、お金を払えば誰でも載せられる。そこに表示されるとあたかも検索結果第1位かのように見えるたね、優良業者と勘違いして問合せしてくる人を狙っている。
賃貸に住んでいる場合は、まず大家さんや管理会社に連絡して、提携している業者に修理を依頼してもらおう。入居者の故意・過失によるトラブルでなければ、管理会社には修理を依頼し場合によっては家賃を減額する義務がある。
民法
第606条 賃貸人による修繕等
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。第611条 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
民法|e-Gov法令検索
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
5、2、クラウドファンディング詐欺
資金調達だけを目的として、架空のプロジェクトを立ち上げたり返礼品を送らなかったりする事例が増加している。「パソコンを買い替えたいです」、「大学に行く費用が欲しいです」など個人的な目的のために乞食まがいのプロジェクトを立ち上げる者もいるが、それとは異なる。
架空のプロジェクトには「ペットの病気の治療費を支援してほしい」、「新商品を開発したい」などがある。その後、資金不足でプロジェクトが中断した・返礼品が作れないと言い連絡を絶ってしまう。法人であれば倒産して雲隠れしてしまう。利用規約では、資金集めが成功した場合プロジェクト側は返礼品を送る義務がある。しかし、トラブルが発生した際には支援者が自力で解決しなければならないため、連絡が取れないようにされてしまうのだ。
利用規約
第11条(プロジェクトオーナーの義務)3項
プロジェクトオーナーは、掲載するプロジェクトを、自らが主体として遂行し、クラウドファンディング成立の際にはリターンの実行が確実であることが求められます。実行が不確実なプロジェクトの掲載はできません。第18条(プロジェクトに関するトラブル)1項
CAMPFIRE利用規約|CAMPFIRE
プロジェクト活動進行中に発生する支援契約当事者間でのトラブル、返金要求、その他紛争については、支援契約の当事者であるプロジェクトオーナーと支援者との間で解決すべき問題であり、CAMPFIREおよび第8条に記載するサービス提供会社はこれに関して一切責任を負いません。
ただ、クラウドファンディングを行っている人の中には、もちろん事実を提示し、真剣に活動している人もいる。真偽が分からないにも関わらず悪質と決めつけたり、実施者側の現状も知らずに誹謗中傷するのは避けよう。怪しいと思えば関わらなければ良いし、不満があるなら支援しなければよい。
5、3、スタバカードストーキング
スタバカードは、事前にお金をチャージしておきお店での支払いに使うプリペイドカードだ。お金をチャージしてから誰かにあげるといった、ギフトや謝礼にも使われる。スタバカードは誰でも使うことができ、更にWeb会員になってカードを登録すると、残高や利用店舗の履歴が確認できる。カードを自分のアカウントに登録してから他人にあげると、あげた相手の利用履歴を見ることができてしまう。利用頻度の高い店が分かれば、自宅の最寄り駅が推測できる可能性もある。
スタバカードが既に登録されているかは、裏面のPINコードを見ると推測できる。カードの登録にはカード番号とPINコードが必要で、PINコードはコーティングシートを削って確認する。コーティングが削られている場合は、既に登録されている可能性が高い。また、登録済みのカードは他のアカウントには登録できない。PINコードのコーティングが削られていたら自分のアカウントを作ってカードが登録できるか確認しよう。
スターバックス カードの登録に必要なPIN番号がわかりません|Starbucks Coffee Japan
5、4、ウイルスに感染した格安スマホ
格安SIMを契約することでスマホの通信料を安く抑えられることは知られているが、本体も安く購入することができる。スマホは、新機種が発売されると現行の機種は型落ち品として値下げされる。その他、中古品も安く販売されている。中国メーカーのスマホの中には定価が超低価格のものもあり、主に中国やアフリカなどの低所得国で出回っている。モバイルセキュリティ企業の調査で、中国製の超低価格スマホの中に出荷時点で既にマルウェアがインストールされている機種があることが分かった。
日本での流通は少ないと言われているが、実態は分からない。フリマアプリや個人経営のスマホショップなど、出所の分からない商品を販売している者が身近にいるかもしれないからだ。スマホ本体もSIMも自力で調達できる時代になったが、安全かどうかの判断に自信がないのであれば従来通り有人窓口で契約しよう。
SOURCE
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