国税局は、様々なツールやメディアを使って事業者の情報を収集しており、その中のひとつにSNSがある。SNSを見れば、投稿者の収入が予測できるほか、いつどこで何をしていたのかを知ることができる。そのため、豪華な生活ばかり投稿していると税務調査の対象になりやすくなるのだ。この記事では、税務調査とSNSの関係について解説する。
1、事業者が避けた方が良い投稿
事業者は以下のような投稿は控えた方が良い。
・ブランド品や外車など、高価な買い物をしたこと
・高級料理店で食事をしたこと
・旅行に行ったこと
・販売イベントに参加したことや売れ行きの報告
2、SNSは国税局の情報収集の対象
これらの投稿を避けた方がいいのは、SNSが国税局の情報収取の対象だからだ。
対象者について知る
国税局は、書類や取引資料のほか、ブログやFacebook、Instagram、TwitterといったSNSからも事業者の情報を収集している。SNSに投稿されている内容からは、投稿者の金銭感覚や性格を推測することができる。対象者の性格を事前に知ることで、どのような説得の仕方が有効かを考えるのだ。
業績のいい事業者を探す
税務調査は、急速に売上を伸ばした事業者から対象としていくため、SNSでの金持ちアピールがそのきっかけとなることがある。羽振りのいい生活をしている、つまり事業の業績が良いことが国税局員に知れれば、税務調査の対象にされやすくなるのだ。
説得の証拠として使う
SNSの投稿は、経費の水増しや所得隠しを発見するための証拠として使われることもある。SNSの投稿と申告内容に矛盾がないかをチェックするのだ。
3、SNSで情報収集が行われた事例
3、1、三崎優太氏の脱税事件
2019年2月、「青汁王子」こと三崎優太(株式会社メディアハーツ・代表取締役)が、法人税・消費税の脱税の容疑で逮捕された。この事件は、SNSへの投稿がきっかけで税務調査に入られたことが特徴的だ。彼はSNSで豪華な住まいや高級外車、競走馬を購入したことなどを投稿していた。当時会社が急成長していたことも、税務調査に踏み切る要因となったのだろう。
ただ、逮捕されるにしては脱税額が少ない。脱税の手口も典型的な経費の水増しであり、逮捕されるほど悪質性が高いとは言い難い。そのため、「税務署はSNSを見ている」、「金持ち自慢をしているとこうなる」という見せしめ的な要素が強いという意見もある。
3、2、イラストレーターの所得隠し
元国税職員のさんきゅう倉田氏の体験談である。
SNSで人気のイラストレーターがおり、主な収入は法人からの報酬だと申告していた。しかし、SNSを遡るとイベントで自作のイラスト集を販売しており、値段と販売部数が記載されていた。実際に税務調査を行うと、経費に計上されている印刷費用に伴う売上が計上されていないことが分かった。苦しい言い訳をしていたが、SNSの投稿の画像を見せると売上を除外していることを認めたという。
この不正は、スマホやSNSが普及していなければ発見できなかっただろう。
3、3、税理士の体験談
税理士の内藤克氏が税務調査に立ち会った際の話である。
税務署員と挨拶がてら会話をしていると、初対面にも関わらず内藤氏の趣味を知っていた。誰かから聞いたのかなと思っていたら、内藤氏が最近Facebookに投稿した話について言及し出した。そこで「事前にFacebookを見られた」と分かって、気味が悪くなったという。
税務調査では、その場に立ち会う税理士も事前に調査されているようだ。
4、まとめ
国税局の非常に高い情報収集力
税務調査では、まず「準備調査」が行われる。税務調査先を訪問する前には、書類の精査を行い、場合によっては店舗や事務所の外観や内観をこっそり確認しに行く。その中で、調査対象者のブログやSNSを確認することは、今では当たり前になっている。
目を付けられないために
そして、税務調査では面倒な思いをする場合が多い。調査当日のヒアリングでは、証拠となる書類と税法に基づいた論理的な質問がされる。いい加減な回答で言い逃れられる可能性は極めて低いだろう。そもそも申告は正しくするのが前提なのだが、税務署に目を付けられないためにプライベートな情報発信を控えるのも、税務調査を逃れる一つの手段と言える。
SOURCE
「青汁王子」ことメディアハーツ社長、脱税容疑で逮捕
「青汁王子」の脱税逮捕、税務調査の怖さを知らず墓穴を掘った
FBやインスタの投稿がアダで脱税が発覚…税務調査官はここを見ている!
「フェラーリ買った」はNG?税務署もSNS見ている
税務署は調査対象者のブログやSNSを当然チェックしている