次回につながる初回商談を行うためのテクニック集

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椿

IT系の会社員。調べものが好きです。アウトプットして脳トレしてます。

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1、初回商談までのテクニック

1、1、仲良くなる相手を見極める

紹介以外で人と知り合うのは、異業種交流会など多くの人が集まる場所であることが多い。そのような場では影響力のある人を見極めて声を掛けると良い。肩書と実力にはズレが生じていることが多く、名刺を交換しても参考にならないことが多い。また、人柄が良く事業も順調な人はいるが、影響力が小さく有益な関係には発展しない可能性が高い。

影響力のある人やその日の主役は会場の前方にいることが多く、ひな壇やマイクの周辺に集まっている。そして、その人たちの周りには更に人が集まっている。影響力のない人は会場の入り口などにポツンと立っていたり、終始食事を食べていたりする。
姿勢や服装にも注目する。背筋が伸びており表情がよく動く人は、ビジネスが波に乗っている可能性が高くポジティブな感情を持っている。ビジネスが上手くいっていない人は、猫背になっていたりスーツに皺があったりする。表情の動きも少なく、30秒以上無表情になることがあるという統計もある。自信や体調が歩幅に表れ、落ち目な人は小さな歩幅でとぼとぼ歩いている。

1、2、初対面の人に話しかける

他人に声を掛けるには「関心力」を磨いておくと良い。家族と同居している場合は毎日の食事を褒めるようにする。関心力のほか、相手を喜ばせるための表現力も身に付けることができる。そのほか、通勤中の電車で荷物や服装を観察するのも、関心力を磨くことができる。身に付けている物や手入れ具合から、職業や人柄を推測すると良い訓練になる。
職人などの専門的な技術を持っている者に対しては、技術ではなく仕事道具に関心を持つと良い。こちらから見て凄い技術だとしても、相手にとってはできて当たり前だったり、まだ未習得である場合がある。技術を褒めるとバカにしているように聞こえる可能性がある。

専門職への話しかけ方

【NG例】
板前に対して:「素晴らしい包丁捌きですね!」
イラストレーターに対して:「人も背景もお上手ですね!」
SEに対して:「英語が読めるなんてかっこいいです!」

【仕事道具に注目した例】
「包丁はどちらで買われているのですか?一般家庭へのおすすめはありますか?」
「カラーペンたくさんありますね。どうやって使い分けているのですか?」
「ノートPC薄いですね。持ち歩くならどこのメーカーがおすすめですか?」

1、3、初対面の人と打ち解ける

話し方や仕草は、わざとらしくならない程度に相手に合わせる。人間は自分と同じような気分でいる人間に最も感化され、お互いに感化し合うとふるまいが自然と似通ってくる。そのため、兄弟や夫婦では話し方や仕草が似ていることが多い。ふるまいを相手に合わせれば、打ち解け合っている状態を演出することができる。

会話は他人に話しにくいテーマになればなるほど、会話を楽しみ絆を深めることができる。天気や近況など当たり障りのないことよりも、人生における学びや信念、目標について聞いてもらえたときの方が心の距離が縮まった感覚を感じやすい。また、そのような自分語りは「聞かされる方は退屈だろう」と思っている人が多く、話を聞いてもらえるだけで喜ぶ可能性がある。
会話のきっかけは「お仕事は何をされてるんですか?」と質問するだけでいい。相手が返事をしたら「大変なお仕事ですね。お仕事の中で一番大変なのはどんな時ですか?」と更に質問する。「大変」には様々な解釈があり、誰しも仕事に対して「大変だ」と思ったことがあるはずのため、この質問は誰にでも使いやすい。

【他人に話しにくい質問の例】
「一番後悔していることはなんですか?」
「5年後、自分はどうなっていると思いますか?」
「あなたの人生で最も感謝していることはなんですか?」
「未来のことが1つ分かるとしたら何を知りたいですか?」
「最後に人前で泣いたのはどんなときですか?」
「人生で一番恥ずかしかった瞬間はいつですか?」

1、4、食事で親睦を深める

異業種交流会などでもっと話してみたいと感じた相手は積極的に食事に誘う。名刺を交換しただけでは関係性が薄いが、食事を共にすることで「それほどの仲なのだ」という意識が生まれ、友好関係を築くことができる。また、飲食中は相手の話を受け入れやすい心理状態になるため、説得をしたり有益な情報を聞き出したりしやすい。

誘う時間帯は昼にする。朝は忙しい人が多く誘いにい。夜はお酒が入って拘束時間が長くなりやすく、効率が悪い。昼は誘いやすく、自分の休憩も兼ねることができるため効率が良い。13時に取引先に訪問する予定の日は取引先の近くで働く友人を昼食に誘うなど、時間と場所も活用することができる。慣れてきたら誘う人数を2人にし、その2人の出会いを仲介する「紹介者」となる。複数人を呼んでランチ会を開き、幹事をすることもできるようになる。人を紹介するほど自分が信頼されるようになり、話を受け入れてもらいやすくなる。

地域ごとに行きつけの店を作っておくと便利になる。会話が盛り上がらなかったとしても相手に「良い店を紹介してもらった」と感じてもらうことができ、マイナスの印象を和らげることができる。店側も、顔なじみの客であれば愛想を良くしてくれたり眺めの良い席に案内してくれることもある。

1、5、影響力の高い人物にメールを送る

まず、内容は簡潔に要点をまとめたものにする。一文は短くしてスペースを取り、読みやすくする。経営者やインフルエンサーは、毎日大量のメールを受信しているし、忙しくてメールチェックに多くの時間はかけられない。メールを読んでもらう可能性を高める必要がある。また、最初のメールでは売り込みはしない。セールストークはほぼ必ず不快感を持たれるため、関心を持たせることを目標にする。

メールの内容は的を絞った依頼にする。漠然と「高尚なお話が聞きたい」「会ってお茶でもいかがですか」と誘っても返答は得られない。彼らは多忙であり、一度も会ったことのない者と、珈琲を飲みながら談笑する時間はない。しかし、講演会が得意な人に「講演会の予定があるからコツを教えてほしい」などの的を絞ったな依頼をすると返答を貰える可能性が高い。アドバイスのほかつながりを構築できることもある。

連絡を取りたい人の連絡先は自分で調べ、直接連絡する。知らない人から送られてきたメールを、組織の窓口から重要人物に転送することはほとんどない。最近では、TwitterやLinkedInに連絡先を載せている人も多く、ひと手間かけて探す価値はある。返信率は低いかもしれないが、「どうせ返信は来ない」と諦めてしまうことの方が大きな損失だ。

1、6、面会の準備をする

商談相手と面会する前には、その人が執筆した書籍を読む。最近ではブログやSNSを発信している人も多く、本人が書いたものがなければ会社名義のものや取材記事でもよい。これらのコンテンツからは相手の思想や経歴を知ることができ、商談の事前知識として有益だ。具体的には、どのような経験から現在の価値観を培ったのか、どんな教訓を重要視していてどんな思想が心に刺さるのか、何の分野で成果を上げてきた人物なのか、などが挙げられる。ビジネス書としても勉強になるため、読んでおいて損はない。この作業を実践している人はなぜか少なく、実践するだけで周囲に差をつけることができる。

2、初回商談時のテクニック

2、1、交渉の席順

1対1の場合
緊張感や圧迫感を与えたいときや反対意見を持っている相手とは、向かい合わせに座る。気楽に話したいときや共通の目標を持っている相手とは、斜め向かいや90度、八の字に座る。部下に真面目な話をするときは向かい合わせが適しており、カウンセリングなどの場合はその他の座り方が適している。

1対2の場合
交渉相手が2人の場合、正方形のテーブルなどで交渉相手が自分の左右に座る状況は避ける。この状況では、相手2人が目配せや合図を交わしても気付きにくい。話し手が変わる度に首を左右に振らなければならず、居心地も悪い。
自分側が2人の場合は仲間と席を離すと良い。席が近いと「2人からの1つの意見」と感じられるが、席が離れていると「2種類の意見」のように感じられ、2対1である印象が強まる。

2、2、いい営業の心掛け

・無闇にキャンペーンの宣伝をしない
・お客様が興味を持っているだけでは売り込まない
・自分はあまりしゃべらずお客様の話をよく聞く
・購入する目的や理由を聞き、合わなければ勧めない
・自社・他社商品のメリットデメリットを伝える
・商品への理解度が低いお客様には買い物に失敗する可能性も伝える
・お客様の予算に配慮する
・本体価格以外の手数料などについても明確にする
・購入を急かさず適切なタイミングを教える

2、3、会社説明をする

初回商談時の会社紹介は簡単で良い。相手からある程度の信用が得られれば良いため、情報を絞って1~3分程度で紹介する。最初から相手に信用されている場合は会社紹介をしなくても良い。
顧客が販売側の会社情報を知りたいと思うのは、商品やサービスの購入・契約を視野に入れ始めたときだ。初回時は商品やサービスの話を聞きたいと思っており、会社のパンフレットを見せられても煩わしいだけなのだ。詳細な会社紹介は、購入の意思が出てから再度行う。

2、4、ヒアリング

交渉は現状のヒアリングから始める。次にこれまでの経緯(過去)、最後に今後の目標(未来)について聞くことで、話を深堀りできる。最初から予算や要望を聞き出そうとすると、購入することが前提ように聞こえて警戒されてしまう。

2、5、現状を聞き出す

悩みを聞き出すときは、「繁盛されてますね」「優秀な社員さんばかりですね」などと褒める。すると「そんなことありませんよ。実は…」という返事に繋がりやすい。まだ知らない情報を聞き出すときには、「御社は〇〇社の製品をお使いでしたよね」などと適当に決めつけた質問をすると、自ら訂正してくれる。この質問は個人に対しても有効で、「料理上手ですね」と褒めたり、「休日は優雅にカフェで読書ですか?」と決めつけたりすると訂正してくれる。

お客様は、一方的に質問をされ続けると「売り込もうとしているな」と感じて警戒してしまう。そのため、相手が「それは間違っている。本当はこうなんだ」と訂正したくなるような質問をする。この訂正した内容こそが本来聞き出したかった内容となる。このように質問すると、相手が「質問されている」と感じにくいため、警戒されない。

2、6、今後について聞き出す

どのくらい強く「悩みを解決したい」と思っているかを確認し、それに合わせた売り込みをする。強さの度合いは以下の3段階に分けられる。

【1】今すぐ解決したい
→自分で調べて、選び、決断できる人が多いため、悩み解決のアドバイザー的立場になると良い。助言をするなかで、さりげなく自社製品のメリットを伝える。

【2】そのうち解決したい
→「いい話があったら聞いてみたい」と漠然と考えている人が多く、最もターゲットに相応しい。自社製品の必要性に気付かせると良い。

【3】現在も今後も必要ない
→まだ購入のタイミングではないため、資料を渡したり簡単な説明をするだけにする。他社の解決事例を挙げて、将来的に同じような問題が発生するのであれば今から対策しておいて損はないと促したり、必要になった時に思い出してもらえるようにアプローチする。

【個人】ダイエット食品の場合
(1)夏に水着を着るから今すぐ痩せたい
(2)太ってきたからダイエットしようかな~
(3)いつか体型が気になり出したら考えるので今はいい

【会社】人材サービスの場合
(1)担当者が退職したので今すぐ採用したい
(2)もう少し楽に採用活動できたらいいなぁ~
(3)事業拡大でもしない限り人材には困らない

悩みのほか、今後やりたい事や目標について質問するのも良い。続けて理由や目的を質問すると話を広げることができる。大抵の人は自分の考えや野望を誰かに聞いてもらいたいと思っている。

2、7、商品を提案する

商品は、お客様の悩みを解決する手段であると考える。どんなに機能やメリットを説明しても、お客様は悩みを解決できない商品は購入しない。商品提案は「あなたの悩みを解決できるのがこちらの商品です」という感覚で行う。

【NG例】
(1)商品説明「この商品はこんなものです」
(2)メリットの説明「こんなことに役立ちます」
(3)売り込み「だから買ってください」

【よい例】
(1)提案「解決策を持ってきました」
(2)裏付け「当社でこのような技術を開発しました」
(3)商品説明「それを搭載したのがこちらの商品です」

2、8、相手の関心度を高める

相手が質問してきた際に「鋭いですね」と言うと、反応が良くなりやすい。このフレーズは「優れた意見ですね」と相手を褒める意味があり、自然に相手を立てることができる。特に、相手の反応が薄かったりこちらの話に無関心そうな場合に使うと良い。

【例】
「鋭いですね!その点に気付かれる人はあまりいないんですよ」
「いい質問ですね」
「さすがですね。ご指摘のとおりデメリットもあるんです」

2、9、本音を聞き出す

テクニックを駆使しても相手が本音を語らないことはある。本音は、状況を熟知しているものの直接の利害関係にない人物に伝えることが多い。相手を傷つけたり関係をぎくしゃくさせたりすることを避けるため、話の内容に直接関わる者には話しにくい。

ビジネスでは、職場や業務で関わることが避けられない人とは関係性を悪化させたくないものだ。本音を聞き出したい人がいる場合は、利害関係の低く傾聴力のある第三者に間に依頼すると良い。

2、10、クロージングする

状況に合わせて以下の項目を確認すると良い。

・お客様の目的
 商談に時間を割いてくれている理由を忘れてはいけない。

・提案への感触
 「ここまでお話を聞かれてみて、実際いかがでしたか?」と率直に聞く。

・今後の進め方
 こちらの提案を社内に持ち帰った後どのような流れを想定しているか聞く。

・お客様の予定
 既に決まった予定があるかどうかを聞く。「週末の定例会議で話してみる」「×日の役員会までに見積書があるといい」など。

・BANTCH情報
 予算、意思決定者、必要性、導入時期、競合、人員体制。

・懸念事項
 意思決定の妨げになりそうなことを聞く。費用感や導入時の人員確保など。

・次回までの予定
 今回の商談の持ち帰りタスク、次回までにお互いがやっておくことを整理する。

・こちらへのリクエスト
 こちらから情報提供できることや役に立てることはないか確認する。「先ほど仰っていた××の件、こちらでも調べてみて分かったらご連絡しますね」とこちらから連絡する口実になる。